新約聖書の使徒行伝には、アレオパゴスの丘で使徒パウロがギリシャ人に説教を行ったと記されています。アレオパゴスの丘の登り口には、使徒パウロの足跡を偲ぶ石碑が建立されています。丘の頂からは遠く一面にアテネ市内が見渡せます。当時、アクロポリス一帯はギリシャの政治的中心でした。アレオパゴスの丘には評議所が存在したと言われています。が、今では硬い岩肌の丘が残るのみです。すぐ傍の崖の上には幾多の星霜を経てパルテノン神殿が威容を示し、往年の栄華を忍ばせています。
パウロは、アレオパゴスの真ん中に立って言った。「アテネの皆さん、あらゆる点においてあなたがたが信仰のあつい方であることを、わたしは認めます。道を歩きながら、あなたがたが拝むいろいろなものを見ていると、『知られざる神に』と刻まれている祭壇さえ見つけたからです。それで、あなたがたが知らずに拝んでいるもの、それをわたしはお知らせしましょう。世界とその中の万物とを造られた神が、その方です。この神は天地の主ですから、手で造った神殿などにはお住みになりません。(使徒の働き十七章二十二~二十四節)