VIA DOLOROSA3

ビア・ドロローサ (イスラエル、エルサレム Israel, Jerusalem)

一日の生活イメージ

ビア・ドロローサ。主イエス・キリストが自ら掛けられることとなる十字架を担いで歩いた道。それはラテン語で「悲しみの道」を意味します。

聖墳墓教会
イスラエル、エルサレムの聖墳墓教会は主イエス・キリストが十字架に掛けられた跡に建ちます。主イエス・キリストは復活し、その遺体は聖堂内にはありません。第十留~第十四留は聖墳墓教会の内部にあります。

第十留(The 10th station)

兵士たちは、イエスを十字架につけてから、その服を取り、四つに分け、各自に一つずつ渡るようにした。下着も取ってみたが、それには縫い目がなく、上から下まで一枚織りであった。そこで、「これは裂かないで、だれのものになるか、くじ引きで決めよう」と話し合った。それは、/「彼らはわたしの服を分け合い、/わたしの衣服のことでくじを引いた」という聖書の言葉が実現するためであった。兵士たちはこのとおりにしたのである。(ヨハネによる福音書十九章二十三~二十四節)   

ローマ・カトリック小聖堂 主イエス・キリストはここで衣を脱がされた。第十留は聖墳墓教会の入り口をくぐる手前、右側にある階段を上った比較的気付きにくい場所にあります。聖墳墓教会の入り口をくぐると直ぐ目の前に、イエス・キリストの亡骸が横たえられ、香油を塗られた場所と伝えられる石板が現れます。巡礼者達が絶え間なくやってきては、石板に口づけしたり、布で大事そうに拭ったりしています。石板の背後の壁には、十字架から降ろされた主イエス・キリストを描いた美しいモザイク画が飾られています。  

第十一留(The 11th station)

さて、イエスと共に刑を受けるために、ほかにふたりの犯罪人も引かれていった。されこうべと呼ばれている所に着くと、人々はそこでイエスを十字架につけ、犯罪人たちも、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけた。そのとき、イエスは言われた、「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」。人々はイエスの着物をくじ引きで分け合った。(ルカによる福音書二十三章三十二~三十四節)  

ローマ・カトリック小聖堂の祭壇 主イエス・キリストはここで十字架に釘付けにされた。第十一~十三留の祭壇は互いに並んで設置されています。この場所で二千年前に主イエス・キリストは十字架に掛りました。第十一留の祭壇に、ライトの照明の中、十字架に釘付けにされた主イエス・キリストのフレスコ画が浮かび上がります。「父よ彼らを赦したまへ。その為すところ知らざればなり」のルカ福音書のこの件は、真珠湾攻撃の総指揮官から、戦後はキリスト教伝道者となった淵田美津雄が感銘を受け、回心に至った聖書個所でもあります。 

第十二留(The 12th station)

この後、イエスは、すべてのことが今や成し遂げられたのを知り、「渇く」と言われた。こうして、聖書の言葉が実現した。そこには、酸いぶどう酒を満たした器が置いてあった。人々は、このぶどう酒をいっぱい含ませた海綿をヒソプに付け、イエスの口もとに差し出した。イエスは、このぶどう酒を受けると、「成し遂げられた」と言い、頭を垂れて息を引き取られた。(ヨハネによる福音書十九章二十八~三十節)   

ギリシャ正教会小聖堂 磔にされた主イエス・キリストが息を引き取った場所。第十二留は、聖墳墓教会のハイライトとも呼ぶべき華麗な祭壇で飾られています。祭壇の下には、主イエス・キリストの十字架が立てられたと伝えられる岩があります。まさにこの場所で、今から二千年前、礫刑に付された主イエス・キリストは、「テテレスタイ」(十字架の血潮による救いの道は成し遂げられた)」と叫んで、息を引き取られたのでした。祭壇の脇では、分厚い表紙の聖書に目を通すギリシャ正教会らしき聖職者達の姿がありました。  

第十三留(The 13th station)

イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です」と言われた。それから弟子に言われた。「見なさい。あなたの母です。」そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。(ヨハネによる福音書十九章二十五~二十七節) 

第十三留には、スターバト・マーテルという、主イエス・キリストの死を感嘆する聖母マリアを象った祭壇があります。
ミケランジェロ作をはじめとする、多くのピエタの原点がここにあります。十二使徒の中で最も若かったヨハネは、主イエスの母マリアと共に、十字架に架けられた主イエスキリストの袂に佇んでいました。使徒ヨハネは主イエス・キリストが十字架に架けられた後、母マリアを引き取り世話をして暮したと伝えられます。 

第十四留(The 14th station)

さて、ヨセフという議員がいたが、善良な正しい人で、同僚の決議や行動には同意しなかった。ユダヤ人の町アリマタヤの出身で、神の国を待ち望んでいたのである。この人がピラトのところに行き、イエスの遺体を渡してくれるようにと願い出て、遺体を十字架から降ろして亜麻布で包み、まだだれも葬られたことのない、岩に掘った墓の中に納めた。(ルカによる福音書二十三章五十~五十三節) 

主イエス・キリストは、ここに葬られた後、三日後に復活して甦り、天に昇り神の右の座に就かれました。従って、この墓は今では空で、何も残されていません。それでも多くの巡礼者達が、この墓の中身を一目見ようと長い列をなしています。聖堂の天井はローマのバチカンを思わせる、中心に穴の開いたドーム状に形造られています。