イエスは言われた。「もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」(マタイによる福音書十九章二十一節)
ミラノはイタリアの北の玄関口です。古代遺跡のローマとは対照的に、ミラノは現代的な商業都市です。アリタリア航空の乗継で幾度かフィミチーノ空港を経由していたものの、ミラノの街並みに降り立ったのは今回が初めてでした。ヴィットリオ・エマヌエーレ２世のガッレリアと共に、ミラノの中心を成すのがこのミラノ・ドゥオーモです。荘厳なゴシック様式のスケールと、白亜の壁一面に鏤められた彫刻群とに目を奪われます。近くにはダ・ピンチ作「最後の晩餐」で有名な、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会もあります。
水の都で有名なべネツィアといえば、サン・マルコ大聖堂です。かつてのベネツィアは、東イタリアを支配する強大な共和国で、小説「ベニスの商人」でも知られる通商国家でした。ある時、エジプトにあった使徒マルコの遺体を商人が買い求め、遥々この地に運び込み安置したのがサン・マルコ大聖堂の始まりと伝えられます。以来、聖マルコはベネチィアの守護聖人とされ、崇敬されてきました。
フィレンツェは言わずと知れたイタリア・ルネッサンス発祥の地です。赤レンガ色のキューポラ屋根のドゥオーモと、横に並ぶ六角形の礼拝堂とが観光客の屯すフィレンツェの中心です。
ピサには、フィレンツェ発の英語半日観光バスツアーに同乗して入りました。かつてガリレオが、自然落下の実験を行ったと伝承されるピサの斜塔は、この時代も変わらず傾いておりました。何故か歴史の普遍性を感じさせる建物です。
アッシジはイタリアの代表的世界遺産、サン・フランチェスコ修道院がある場所として有名です。そこはフィレンツェとローマを結ぶユーロスターの途中駅にある山間の町で、隣町はあのサッカーの中田選手がかつて所属していたペルージャでもあります。駅からバスで１０分程坂道を登った丘の上にサン・フランチェスコ修道院は姿を現わします。アッシジの町はレンガ造りの建物と、石畳の坂道を時折自動車と観光客が行き交う静かな佇まいです。聖フランチェスコは冒頭の聖書の御言葉に従い、一切の物を所有せず人に施すことを信条に、この山間に自ら修道院を建立し、その生涯を捧げる活動を始めたのでした。
