さて、イエスと共に刑を受けるために、ほかにふたりの犯罪人も引かれていった。されこうべと呼ばれている所に着くと、人々はそこでイエスを十字架につけ、犯罪人たちも、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけた。そのとき、イエスは言われた、「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」。人々はイエスの着物をくじ引きで分け合った。(ルカによる福音書二十三章三十二~三十四節)                           

イスラエル

万国民の教会(エルサレム) Church of All Nations (Jerusalem)

神殿の丘等がある城壁に囲まれたエルサレムの旧市街から、ケデロンの谷を挟んだ向こうに、一段と高い丘陵をなすオリーブ山があります。オリーブ山の懐には、急勾配の登坂が続く所々に、福音書に記載された主イエス・キリストの足跡を記念した教会が建てられています。この万国民の教会もその一つで、オリーブ山への登り坂が始まる麓にあり、かつてゲッセマネの園があった場所と伝えられます。このゲッセマネの園で、主イエス・キリストは弟子たちを伴い、度々祈って夜を過ごされました。十字架に架けられるまさにその前夜も、主イエス・キリストはこの場所で夜を徹して祈られたのでした。

鶏鳴教会(エルサレム) St Peter in Gallicantu Church (Jerusalem)

鶏鳴教会は、シオン門からエルサレム旧市街の城壁を出たところに続く斜面を下った途中にあります。かつて、大祭司カヤパの屋敷があった場所に建てられた教会と言われています。十字架に架かる前、祭司長達に捕えられた主イエス・キリストはこの場所で一晩を過ごされました。十二弟子の一人ペテロは、主イエス・キリストが捕えられた夜、大祭司カヤパの屋敷の中庭に潜り込み、焚き火に当りながら主イエス・キリストの様子を遠くから伺っていました。そして、傍にいた人達から「お前もイエスの仲間だ」と詰め寄られたペテロは、三度もそれを否定したのでした。まさにその時、主イエス・キリストが預言したように、鶏が二度鳴いたのです。

聖誕教会(ベツレヘム) Nativity Church (Bethlehem)

メシアはダビデの家系から、ユダヤのペツレヘムから出ると預言されていました。その預言の通り、主イエス・キリストはベツレヘムでお生まれになりました。ベツレヘムはダビデ王の出身地でもあり、ダビデの町と呼ばれていました。ベツレヘムの生誕教会の内部は、ギリシア正教、アルメニア正教、カトリックの領域に分かれており、各教派がそれぞれの祭壇を管理しています。教会内には赤子姿の主イエス・キリストや、羊飼い達が飼い葉桶の中の主イエス・キリストにまみえる生誕劇の人形などが飾られています。

受胎告知教会(ナザレ) Basilica of the Annunciation (Nazareth)

主イエス・キリストが育ったナザレは、エルサレムから北方にバスで二時間程揺られていった所にある、ガリラヤ地方の小さな村です。受胎告知教会は大天使ガブリエルの母マリアへの受胎告知を記念して建てられた教会ですが、その内部は天井高いドーム状の大聖堂と母マリアと主イエスキリスト母子を描いた大きな聖画等が壁に飾られた礼拝堂から出来ています。現在のナザレには、この受胎告知教会や、聖ヨセフ教会等の主イエス・キリストの両親のゆかりの教会が建てられています。