ヨーロッパ紀行 世界遺産と聖跡の旅⑦

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⑦エーゲ海紀行(2007年9月) 
   Alitaliaミラノ経由。アテネ2泊、エーゲ海クルーズ4泊。アテネ、ミコノス島、エフェソ、パトモス島、ロードス島、サントリーニ島、ピレウス。
 憧れのエーゲ海クルーズに行って来ました!                    エメラルドグリーン、コバルトブルーの海は想像を絶して爽快でした。クルーザーのデッキで地中海料理とエーゲ海の潮風を味わいながらまったりした時間を満喫。

【初日】 ミラノ乗継で日付が変わる深更のアテネへ。市内のホテルに一泊後、翌朝、ピレウス港へ向かう。税関で出港手続を取った。その後、豪華客船に搭乗し、エーゲ海を一路ミコノス島へ。 夕刻、ミコノス島に上陸。エーゲ海特有の白壁の街並みを、夕焼けが茜色に染めていく。海に沈み行く夕日を暫し撮影。夜の帳が降り、闇に姿を隠そうとする風車群を、寸借を惜しんでカメラに収めようとする。島内の街並みは、迷路の如き白亜の路地が縫うように何処までも続き、その両側に土産物屋やバー、レストラン等が犇く。店舗の軒も白壁、路地も白い石畳で、何処か大理石のトンネルの中を進んで行くような錯覚を抱く。

【二日目】 エーゲ海を東進し、トルコ半島に上陸。新約聖書時代にパウロが遥々伝道した古代都市エフェソ、現在のクサダシ港である。エフェソ観光は英語ツアーを予約できず、何とスペイン語ツアーに便乗することとなった。キューバ出身の搭乗員がスペイン語のガイドを英語に訳してくれるという。それをまた、自分が日本語に訳さねばならないから大変だ。パウロが宣教した当時のエフェソは、女神アルテミスの神殿を擁した小アジアの偶像礼拝の中心地だった。また、古代世界で最も進んだ図書館施設のあった地でもある。今は廃墟と化した神殿の瓦礫の残骸が往年の栄華を忍ばせる。近くには、パウロが演説したであろう、広大な擂鉢状の野外演劇場の遺跡も残っている。

エフェソ遺跡から、荒涼とした山肌をバスで小一時間程巡った地に、主イエスの母マリアが最晩年に過ごしたと伝承されるマリアの家が残っている。聖母マリアに対する憧憬からか、そこでは、スペイン人らしきうら若き女性が集い、熱心に祈りを捧げる姿が垣間見れた。待望のパトモス島に上陸。使徒ヨハネが最晩年に黙示録を記した流刑地である。英語ツアーのバスに同乗し、島肌を這うように伝う坂道を駆け上る。
『私は、神の言葉とイエスの証しのゆえに、パトモスと呼ばれる島にいた』
ヨハネが篭り黙示録を記したと伝承される洞窟を訪ねた。ほの暗い洞窟底の岩肌から、黙示録を語る使徒ヨハネの声が今にも木霊してくるようだ。この場所で、使徒ヨハネがあの復活のキリストを幻の中で目撃したか、と思うと感慨深い。洞窟の傍には、使徒ヨハネの功績を記念して、聖ヨハネ修道院が建立されている。

【三日目】 旅行会社の担当者にも教えられていたが、クルーズの船旅は気楽そのものだ。クルーズ船がエーゲ海を駆け巡り、ピンポイントで要所々々の観光地に辿り着いてくれる。その間、船内のレストランで食事を取ったり、潮風を感じながらデッキで紺碧の海原を眺めたり、キャビンで熟睡したりと、ひたすら寛いでいれば良い。地図を片手にバスや電車を乗り継ぎ、目的地を探し回る必要も無い。全くもって余裕綽々である。 朝焼けの中、着岸したクルーズ船のタラップを降り、ロードス島を一日観光する。遥かエーゲ海の水平線を昇る朝日が目に眩しい。静かにたゆたう渚の波頭に陽の照り映えがぎらぎらとさざめく。エーゲ海最大のロードス島は、十字軍(聖ヨハネ騎士団)が駐留した、中世都市の面影を色濃く残す観光地である。港沿いの道を暫く散策すると、遠く何処迄も続く海岸線一面に、カラフルなパラソルが林立する海水浴場に出くわした。かつて要塞として用いられた城郭が、今では博物館の施設となっている。 昼食は地中海料理のレストランに入り、地元の魚料理に舌鼓を打った。丸一日島内を巡り歩き、夕暮れを迎える頃、再びクルーズ船に搭乗した。

【四日目】 ギリシャ、エーゲ海最大の島、クレタ島に上陸。ここでも英語バスツアーに参画。イクラリオンの遺跡を見学した。色鮮やかな壁画に象られた神殿の遺跡群が悠久の歴史を超え今も残る。その後、エーゲ海を航行しサントリーニ島に上陸。白亜の街並みと青い屋根、紺碧の空とエーゲ海が織成す御伽の世界だ。時の止まった異空間に滑り込んだような錯覚を覚える。島の頂に聳え立つギリシャ正教会では、静まり返った空間で白装束の司祭がひとり祈祷を捧げていた。島のシンボルである青い半円形ドームの教会内部は一面フレスコ画で綾取られたヘレニズムの世界である。

【五日目】 四泊五日のエーゲ海クルーズを終え、無事、朝焼けに染まるピレウス港に上陸した。ピレウス港の街並みをそぞろ歩き、海岸沿いの教会を訪ねた。アテネのピレウス港は、ギリシャ伝道に訪れたパウロ一行が最初に上陸した起点である。アギア・トリアダ大聖堂では、イコンとフレスコ画に囲まれたドーム状の礼拝堂に、はや早朝から多くの礼拝者が列席し、静寂の中、白装束の司祭が礼拝を掌っていた。

2018年03月16日